ある日
ある日6歳の土居清は
このように塀から中を覗いた
庭で稽古をしていた禅寺の和尚が
それに気づき
中に入れと言われるまま
入ったのが始まり
以来
厳しい修行を積み重ねた思い出の地
師匠は土居が35歳の時に
大阪から5年ぶりに訪れると
その3年前に亡くなっていた
皆伝の免状を受け
次にきたら極伝をお前にと
言っていたが
お互い連絡をとっていず
悲しい別れとなる
学校の前と終わりにここにきて
ひたすら最初は木の棒を振り
一日1000本基本の6本のかたを6年間振るだけだったという
師匠は水面の月を切れた
俺は軒下に落ちる雨の水滴を斬れた
自分の爺様は鴨居からたらした
乾いたタコ糸を斬った
懐かしそうに
この銀杏の木に立てと言われ
こうしてな
腕広げてな
動くなよ
と
師匠がな
ピーン!と一振り
細い傷をおでこのつけた
よし!
明日から来い!
と言われてな
それが土居清のある日
ある日は
人生に大きな影響と歴史と光陰を残す
その頭ではわからない
胸の動くままの自分の素直な
行動と意志が
次々とある日を織り込んでいく