始まり
幼い頃
海の始まりは真鶴と
山口の無人島
特に山口は壇ノ浦を望む山の一軒家の植物園の園長で画家の爺様と
いつもなぜか神様の様に
全身真っ白なステテコ姿の仙人の様な ひいじい様は
ちょっと怖かった
あんまり話さなかったけど
小学生の僕にベッドの下からほら
と1万円!
僕は
なんでベッドの隙間なんだ?
なんで隠すんだろう〜とミステリアスなじい様
お婆は穴子の頭や骨を焼きつめまで作る料理人で
クロスチャンだったが、キリストやマリア姉さんを押し付けることも
アーメンと祈って魚介を食べることもなかった
台所の横で、捌かれ魚が料理になるいくえを見
味見をさせてもらう時の
婆さんが真剣な顔でどう?と聞く
一人前の料理人の気分
山の冷たい水でまな板を洗い次の魚へ
島は
渡船で渡る透明でちょっと冷たい海
水中眼鏡だけで1日中網で魚を追い
サザエやとこぶしやたこをつかまえた
これを毎日1週間
片道1時間通うのが楽しみだった
もちろん
僕は海で捕まえたあらゆる魚や
朝市場で買った、おこぜやウニやひらそを食べた
バスとディーゼル機関車の引く木の床の列車、文字通りゆられ
どっと疲れた帰りは居眠りをして窓枠の金属に、何度もごつんと頭を打ちながら
魚を活かして持って帰る為、ビニールのバケツに電池の酸素ポンプをつけ
るが、このビニールが水の重さで形をなす程度でよくこぼした
片手に釣竿と網、片手に海水と小魚の入ったブクブクを持ち
汽笛のなる汽車とバスで、腕が潮で白くなりながら
また船の汽笛が聞こえる、100段の階段の山の家へ
歩いて帰った
すごい荷物を海に当時から持っていた
当時は賑やかな城下町長府の書店街の釣具屋で
初めて1眼の金属の銀の縁で黒いゴムの水中眼鏡は
何よりも嬉しかった
海の始まり
皆さんも
それぞれに海の始まりがきっとあるんでしょうね