興聖寺とフィジー

海は恐るべし力で
空をも飲み込み青い透明な雪崩でくるんだ
そんな中を酸素ボンベを使わずに泳いだわけは

死に接して
この身を死ぬ可能性の高い場所に
投げ込み写す
戦場写真に類似した部分に
本物があると感じ

独りで機材を背負い
世界に波の中へ行った始まりの写真

現像して現像所も驚き
目は補正してしまい
本物の色ではないと知る

36枚フィルムを詰めては
泳いで、大波を逃げようにも逃れず
逃げずに波の中へ大胆に入った

風のない美しい昼間
水中の波が太陽光と一緒にうねりキラキラと発光しながら崩れていった

目で見たものが本物ではない
見てから押したんでは遅い
1秒の500分の一
つまり0.02秒の目には見えない時間が

この身はやがて消えていくが
海と襖とお寺の仏様や達磨さんは
曽我蕭白さんや織部さんがいた頃のまま

あの場所で未来の人々へ
伝え続けていく

人生は儚い
から腑に落ちる生き方を
自分に見せていく

それに限ります

旅から旅へ

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