フィジーの最果て
自分がもはや人間という垣根もなくなる
一瞬の差数メートルで
この大波に巻き込まれたら
相当な問題をも跡形もなくする絶対的な力
怖いと思うと
体が萎縮して
逃げ込む角度が甘くなり
潜る勢いが落ちれば波にそのまま
引き込まれ
緊張したら余計な体力を使い
腰に力が入らず
負の連鎖だ
余計な力
余計な頭
余計な動き1つで逃げ遅れる
逃げる隙間を少なくするほど波の中に入れるわけだが
相手は高速で動く雪崩
その雪崩を数十センチでかわし
水中で回転してノーファインダーで
撮るなどとても出来ない
何百回も潜って波を切り抜けないと
ここにはいられず
一回でもミスれば波に引きこまれ
浅瀬のサンゴ礁で大根おろし
次から次へと迫る
波に心を潰され
頭を固い珊瑚の岩に打ってあの世へ
ライフガードもな誰もいない
天然の太鼓の呼吸のままの、美しい海は
その力も半端じゃないが
人間を自然に正す力がある
プールのタイムもバタフライも
写真機の技術は要らない
勇気と大胆さと
無の境地
あとは運のみ
単純明快だ!
写真は
巨大な波が一度崩れ
次の波が無風の空間で崩れながら
光を巻き込みながら動いていく
水中には振動と波動が風を生み
水面に水中から絵を描く
人間の破壊を受けていない海は
本当に美しく
本当に霊気に満ちて
見られていると感じる
全てを捨ててここにあえて
カメラを片手にフィンだけで泳げば
宇宙の叡智と海の真髄を知る