世間知らず

青い寒天のような波の中に
ずいぶんいたから
もういいや
と思ったのは2011年

青い波の誘惑から10年が立っていた頃

浦島太郎のように海に住んでいたわけではないから
全部足してもせいぜい数ヶ月だが

海に独り漂っていた時間は世間の人よりは長かった

命をかけざるえない時間こそ
人を正しい心に戻す

集中力のオンオフの入れ具合
体と心は一体な事
どんなに泳げても、海で生まれた小さな魚には敵わない事

数えきれない
波の崩れる破壊音と
全身を波とすれ違わせ
波に擦れないようにしてきた

普通生きていたら
そんな必要はないのだが
日常から逃げた分だけ
普段では知り得ない胸がワクワクする
水が蕩々とあることを知った

自由に旅をしないと
人間は世俗の養殖池で弱ってしまう

真っ暗な真冬の海へ独り
勇気を総動員して向かった記録

世間知らずの方がいい

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