青墨

正直ここは怖かった。人が入ってはいけない領域の感もあった。
水がヌメットして微細に動く感がした。
水深は2m。 浅い場所で崩れる波動はそのパワーが早くて固い。
常に流れと位置を確認し、あまりに怖くお祈りと呪文を唱えた。
鮫の巣があると村人は言う。
危険なタイガーシャークなどの回遊性の鮫は巣はもたないから、よくいるという事だろうか?沖のほうを目を凝らして見つめた。
夕暮れは危ないのだ。
大波が来たら、白い海底までもぐって珊瑚の岩に身をよせよけるだが、あまりせまいところへ行くと引っかかって出れなくなる為、極度の集中力と緊張感が充満する。
夕暮れスコールが一面を覆うと、まるで水墨がのような景色の中、雨の水滴にうねる水面は
生きているようだった
波は沖から続々と島の形にそいながら、弓のように迫った。

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