青いバケツの中で
ハワイ諸島オアフ島の北
ノースショア
2002年の冬にここにあてもなく
訪れ
朝空港に着いてから
パイナップル畑の一本道を車を走らせ
夕方五時に宿が見つかるまで
それは思い出深い時間が
ここにはある
なによりも初日に
気道が閉まる程溺れたのはよかった。
パニックになると人は楽な方に逃げ
この苦しさから解放されたい為に
泳ぐのをやめちゃえ!といった死ぬ間際
人間の脳のおかしな判断に迷った
意識的に冷静に
精神的な部分を元に戻せば
結局は戻れるのだが
遥か沖では、そうはいかない
海での溺死のプロセスを体験出来た事は
貴重で正直嬉しかった
あれ以来
心と体
小さな自分の力と
圧倒的に凄い地球の力
の中で止観し
「おそらく」
越えてはいけない一条の線を
行き来きしてこれたから
地に足が着いている訳だ
その証明写真が波の裏側。
12年後フィジーの離島で会った
ハワイアンの友人に誘われ
再びこの地に戻り
泳いだのだった
なぜ長い間ここに来なかったのか?
つまりは白人のサーファーの渋滞と
水の濁りを避け
南へ南へと下がっていったのだが
もちろん文明と美しい昔の地球がうまく調和した
オゾンに満ちた朝のノースショアの海岸は
人々を魅了する
のだが
僕には人里離れた
静けさと
絶対的な地球だけのエナジーに
包まれたかった
自然のままの世界にあると言い伝えらえてきた
見えない力を観たかった
ワイキキをはじめリゾートや住宅開発や汚水で
ハワイの水が汚れたように
遥か南の島々も
数百年後はわからない
所詮は青いバケツの水に生きていると知りながらも
人間は止められないエスカレートし続ける馬鹿な便利と金を求めるいじょう
地球の自然環境は破壊されていく訳だ
しまいには武器を作り戦争をしかけ
よその国で戦争をやらかす
戦国時代のありさまだ
今から70年前の
1941年12月8日に
このノースの空から真珠湾へ向かった若者達がいた
戻れなかった54人のパイロット達と9人の特殊潜航艇の若者達
がこのこのハワイにいた事を忘れてはいけない
仰ぎ見ながら
彼らが見た心の景色と
今の景色の差を海から憶った