岐路
おまえさん!
よく見て!
よく観ろよ!
カメラは所詮機械だからな!
カメラに撮られるな!
いいな
バーンとお前は海へ行け!
俺たちには観れない世界があるはずだ!
いいな!チャレンジ!だ!
そんな言葉を最後に
ある日、水俣病を撮り続けたユージンスミスの
日本でのアシスタントもした写真の師、柏原誠は写真を1切やめ
絵を描き始めた(これがまた凄いエネルギーのかたまりだったから,感心した)
今からもう15年前の明大前の彼のスタジオで・・・・
それからまた25年前に3日だけ泊めてもらった
パラオのレイモンド アキヲ おやじの死を東京で感じた
電話をかければ、ものの数秒で
ママがでた
アキヲは死んでしまったの。
ママ
おれわかってたよ・・・
彼のお墓で涙がでた
まだまだ伝えたい事が山ほどあり
もっと会いにくればよかったのに、来ない自分を悔いた
が
済んだ事はしかたない。
来なかったのは自分なのだから。
儚い命
そこで言葉がおりてきた
戦場ではなく、苦しい海の修行を探した
海を知ったかぶりの自分へ
1枚の写真で証明したかった
それから
海へ裸で向かった
海の風景や魚の写真に息苦しさを覚え
酸素ボンベや,ストロボは、海に魚に失礼でずるいと気づいた訳だ
あの日の一言がなければ
俺はここへ向かわなかったのだから
あの別れの出来事が
背中を存分に押した
そして今そんな
カメラのおやじ柏原誠とも会えなくなった
誰よりも,波の写真を喜び
個展に足を運んでくれた
人生の岐路がある
一瞬の岐路がある
考えて考えて
考えても仕方ないと知り
あとはバーンと大胆に決めて実行あるのみ!
決めた事は振り返らず
失敗はよく観ること
だがそもそも失敗などないのである
子供の頃から,四角い机と教室で
うまく行かないと失敗だとすりこまれた
から仕方ない
つまりは
岐路にぶち当たった際
光を見つけるのは自分であり
どっちを選んでも
それなりの素晴らしい時間が待っていると知るのは
旅をしたものしか味わえない奥義である
頭で決めた結果を捨てて
黙って,大胆に慎重に旅へ行く事
彼らはそんな人生のガイドであった。
姿はないが、彼らの笑顔と優しさを感じて生きている。
儚い命
たとえ二十歳をいでずとも
人生にどんな光陰を引くかで
その人生は長く生きた人よりも深いのだと
真珠湾攻撃に出て戻らなかった19歳の爆撃機の偵察員清村勇さんは
出撃前に遺書を残した
潔さと強い精神力が支えた
今から74年前の若者の儚くも輝いた命があった
もし戦争がなく,平和な時代に生きていたら93歳である
本当は長く生きられた命を
無理に命を潰さなくてはいけない刹那
こうして趣味と嗜好で、わざと命を掛けれることは
幸せな事なのだと知り、彼を偲んで海へ向かった。
溺れても泳ぎきる
あきらめたら自らが選んだあの世であり
三途の川のばばあに六問銭を払うはめになる
一条の光を崩れた暗い波の下で探した日々が
今の写真を写させてくれたのだ
結果はとんでもなく未来にある
途方もない,考えが及べない何処からか
ある日急に、ギフトはやってくる。
とにかく
バーンと自由に飛び出すことだな
おやじ!