狐
江戸時代の画家
伊藤若冲が晩年に隠遁した寺(石峯寺)
と伏見稲荷は同じ山であり
晩年一斗の米と僅かな代金で
伏見稲荷図を描き
石仏を寄進したという
当時は今の伏見駅まで参道が続いていたという
若冲の古里の禅僧にある絵をみせると
私も今まで見た事が無いと
実は数日前とある
日本画を看板なしで30年間販売してきた事務所へ
先週ここで見た若冲絵だとみせられたピンクの狐が気になっていた
古い物にはそれなりのものが宿るからと思い
伏見稲荷の清め砂を持参した
初対面のオーナーさんは
何故か玄関ではなく
ピンクの狐の後ろ姿の絵の前に置いた
「そこに置くんですか?」
「うんこれ伏見稲荷だから」
聞けばその絵は晩年の若冲が描いた絵であり
250年の時を経て伏見稲荷が再会した訳だ
本当に驚いた
呆然と見ていると
狐がいまにも振り向きそうな感じで
なんだかこれも何かの縁であり
しかるべき場で祈られる絵だと感じ
購入させて頂いた
もう2度と逢えないと思うと
なんだか胸が締め付けられるようで
大波の独り旅や、35年前に数日だけ家に泊めて頂いた
パラオの今は亡きおやじさんを憶った
買えないものを買ったと
自分に言い聞かせた
だから若冲じい様に聞きたかった
伏見稲荷をお参りしたかった
そして墓前でもちろん
「じい様
これ書きましたか?」
その後250年前のままの
裏山の竹やぶに生きる
石仏の群がる山にいった
不思議な空気が漂い
若冲さんの隠遁した理由が
すこしわかったような気がした