裏側へ

飛行機を乗り継ぎ
小舟に乗り換えフィジーの遠い島へ行ったのは
もう16年も前

そこで波の裏側で見てしまった

今でもあの日を忘れない

漂いながら
命がかかる意味と
嘘も掛け値もない

遥か沖の大海にポチャン!と独り

見えるのは緑の山と空
青い空には鳥が舞い
青い海には魚が舞い

ビルも電線もない昔ばなしの世界

まだまだ残る
太古の地球に

自由な妙な幸せに包まれた

ここにいる自分をニタニタ笑い
この時間を知らない
昨日までの自分が小さく思えた

やはり人生は新たな旅である

なんて
言いながらも

やがて欲深いもので
展示が始まり、新たな色と新たな作品?に
背中を押され,胸を押されたある冬の大雨に

震えながら
日本の波の裏側へ行ってみたがイマイチ

1ヶ月後さらに寒い夕暮れに泳ぎ
その1年後暗い朝焼けに泳いいだら
今迄知らない裏側が写った

高速な波の裏から
ファインダーは見ないで押す

感覚を先回りさせ
何かの予感にかけて押す

自分が感じた予感のままに

それが独り旅の醍醐味だ

僅かな時間
裏側から光をみる

今はすでに過去だから

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