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海外に行くと日本では感じられない自然への緊張感を感じる。
この海岸は車を止めた場所から、海岸はこっち。と手書きの看板をたよりに、羊の群れがいるぬかるんだ山の斜面を歩き、牧場主の私有地に迷い込みながら30分程で着いた。
こんな辺ぴな場所に、本当にサーファーは来るのだろうか?
橋の無い川を渡りごろた石の海岸へ出ると、アフガンやネパールの山で見る死者を祀るケルンの様な石組みがあった。冷たく吹き付ける風のこの場所で、初めて人のいた時間を感じた。
人けの全くない濁った冷たい海と、打ち上げられた巨大な海草を見ると、食物連鎖の頂点にいるホオジロザメの存在がちらいついてならないから、泳ぐのはやめた。
延々と澄んだ空とも空間とも言える、海より上の部分から吹き付ける風は、遠く地球の海原を旅し、この場所を通過し山へ向かっていった。
なんだか訪れた人々の様々な憶いの残る、不思議な場所なのだと感じた。