読む

延々と続くクリーム色の分厚く粒の粗い砂浜にいる
それぞれの時に
海岸に引き寄せられた人々の意識と
同じ心地よさを感じた穏やかな足跡が
幾重にも蛇行しながら、彼方に消えていく
この砂も数千年前は海の珊瑚として生きていた
人間が知り得ない時間と空間の密度が保たれた場は美しい
テトラや人工物のない、地球の摂理で遥かな時間と自然に出来上がった
うねる浜辺がいいことか
人々は戻れる算段と準備をして
冷たい水の中へ行く
山と違い海や川は長くはいられない
地に足がつかない中で体が冷えて、食べ物もない
もっとも危険な領域でもある
この水間も地球の記憶を知っている
しかし山も海も川も容赦はない
それがあるがままの姿であって、それ以上も以下もない
ご機嫌を伺い、観察をし
自分の力量と体験を天秤にかける
そんな読むという行為が今、人には大切なのだ
無意識に地球の流れを読める力を憶いだし
楽しみと冒険を今生の僅かな時間に頂く
裸に近いほど、そのエネルギーを知る
沖から雪崩のような海雲がせまったら
間違っても退いてはいけない
波が来たらとにかく前へ向かう訳だ
するどく潜って波とすれ違い、呼吸をする
人が作ったスポーツ?と呼ぶ
競技やルールは通用しない
試合ではなく仕合いだから
その繰り返しの1枚1枚を、安全な場所で観ている
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