ブダイ
ここがフィジーの離島の離島
よくもこんな場所へ来たものだ
そのうえ,泳いでこんな沖に独りで来たものだ
と
独りで含み笑い
幸せ
人生の不思議を心で転がす
この場のこの今を知らないまま
死んだ自分が怖い
など
など
涌き上がる想いにブクブクと笑う
何らかの因果
何らかの間違え
がなくてはいないはずの
人間を知らない海
妙な美しさと怖さの線
伊勢神宮の内宮の内宮の
あの賽銭箱の向こう
白い玉石の線にたった
あのピリットした感覚
何かが
いらっしゃる
初めてそれを聖域と呼んだ人は
凄い
漢字はともあれ
言語同断の世界に漂えるのは
地球で何人いるのか?
今も不思議でたまらない
魚はブダイの仲間
彼らが強烈な歯で、ガリガリ珊瑚を齧り
白い石灰質の粉が珊瑚砂になる
ある距離に来ると離れ
潮にたなびきながら
群れで泳ぐ姿は平和そのもの
美しい海を破壊する人間の
気持ちが知れない