自然な事
旅は流れるままに
撮影機材や足ひれをアルミケースに詰め込んだが
「波があれば泳いでみようか」
そんな受け入れる旅だと感じ
どこか20年前のあてのない独り旅を憶いおこす旅と
重ねていた
人けのない静かな森の道を抜けた先に
溶岩と森の海に波はあった
町の電磁波に包まれた、不自然なすごく高いビルに集まる
蟻のような人々とは違い
地球のエナジーを感じ、感応する人々がここにはいる
予想のつく景色と、予想のつかない景色
電気仕掛けで上がっただけと、自らの力量で挑戦し行く時間
こんな事をしていれば
地球の力や尊厳など、遠い昔の話だと
誰もが忘れてしまうわけだ
人には地球をゆっくりと読む時間が与えられているはずだが
あまりにおかしな現世で、うつむいて携帯電話に飼われ、家から会社へす通りだ
同じ時間をこの地球で生きているのなら
どっちが豊かで素晴らしいのか
言われなくたって、知ってるはずだ
初めての海は特に怖い
地に足がつくところへ、戻れるよう祈るのも
ごく自然な行為だ
そこにはあまりの幸せで美しい時間に満ちあふれている
毎日の時間とともに、そんな自然な行為が失われていく今だが
日本人がこの辺りをよく理解してきた、ネイティブな歴史と時間がある事を
もう一度憶いだせたら幸いだ
偉大なものは高いビルじゃないってわけだ