貝殻
35年前とある、一軒の家で3日間泊めて頂いた
12年ぶりにその人達に逢いに向かった
2001年にその家の主、島には何もないからと
ロープで縛った大きなシャコガイをおみやげにお持たせてくれた
海の人アキヲさんが亡くなる迄
作文用紙数枚の会話だったが、不思議な暖かさと繋がりを子供ながら感じていた
貝を見る度、当時がよみがえる
彼の呼吸や優しさがこの貝ガラに残っている
そんなおやじが2001年に突然この世を去った
展示に終われ、電話も手紙も書かずにいたその年の3月
糸がきれた感じがし、電話をかけた
ものの数秒で、この写真のママがで
やはりその言葉を残した
人の命は儚く
逢いたい人には逢いに行く
イサギ悪い、卑怯な酸素ボンベやストロボを捨て
裸で海に中へ向かうべきだと、背中をおされた
以来波の中を、泳いでいる
35年前にこの人達に会っていなければ
この写真も自分さえもこの場ににはいないのだから
人生は自由と不思議の連続であり
旅の果てには、なにか道がまっている
当時と変わらずあの島に、あの家に住む家族へ
写真集を見せに行く
まづはこれから
道が観えてくるのかもしれない
漂流しながら、迷いながら
そこで待つギフトを
そこにあるサインを
見過ごさぬよう
両目を開いてゆっくり読まなくてはいけない
地球の波の中へ行って、戻ってくる
人の小ささと、地球の強さを知りながら
漂流していくものなのだから