ガイド
太陽は父、大地は母と伝える、ネイティブアメリカンの話は、日本人にすんなり馴染む。
都会にいると太陽はじりじりとビルを焼く様な存在だが、ひとたびその向こうへいけば、
その存在のありがたさと、心地よさを知る。
海の中も太陽が無ければ命も育たず、むろん波も写せない。
光の反射と透過で全ては存在しているといっても過言でない。
以前熊野古道の、歴史ある宿のおやじさんが、熊野本宮に入る前(発心門王子)が
実は昔からの結界だから、門をくぐる前に、名を名乗り、父なる太陽、母なる大地に3度
祈ってから、入りなさいと教わった。
山河を始め、そこにあるもの、そこに生きたものへの、ごく自然な敬意と好奇心がこの国、
しいては地球を大切に守る事に、繋がっているのだ。
環境保護など壮大な広告の前に、まず自身の裏山へいけばいい。
浅い海の磯辺へ入ればいい。
学校や人に教わる事ではない。
実は既に知っている事を、憶いだせば自ずと気づく。
実践と体感が5感、6感を開くと信ずる。
しかしながら、おばかなテレビとコンセントに囲まれた今
そのドアの取っ手を知らせてくれる、ガイドは必要なのかもしれない。
まだひとりで海や川へ行けない幼い子供達の様に。
魚は生まれてすぐに泳げるが、人は人の手を借りねば生きられない。