影の跡

太陽が地球の向こうへ
消える間際に

誰も海にも水中にもいない
寒さを超えた
冷たさに

その
何かが
偶然写るのかもしれない

寒さを忘れたく
自由な幸せに
大声で真言を唱え
気をまぎらわす

今まで
出来るだけ透明で
大きな波を求め
南の世界の水中を
旅してきた

実は
昨年から日本の
真冬の海にいる

日本海は無理かもしれないが

ある境地に気づいた訳だが

波にたより
すぎていた

波を撮るのは
簡単かもしれない

よくよく
波と呼ぶものを
見ていると

そもそも波なんて
無いと気づく

水面と水中に
動きと影さえあれば
波の大小も関係なく
その波動と光の狭間の

祈られてきた
時間が染み込んだ日本の
地域と海域に
密かに潜む影を求めた

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