旅
儚く
美しく
消えて行く
地球と宇宙を巡る水の冥道
を目の当たりにし
等しく誰もが
胸の辺りで感じる
優しく電気がはしったような記憶
記憶は曖昧でいい
見ているが
見えない色
見ていたが
見過ごしていた音
海の中では音は空気中の10倍もの早さで
届くという
遥か沖で独り漂う紺碧の海
波の崩れた瞬間より
わずかなズレでその轟音が全身を包む
経験が邪魔をする
これだけ波の中にいても
いまだに怖い!と感じない時はない
限度無い恐ろしさは
いったい体の何処に潜んでいるやら
随分と体や頭の隅々から
捨て去ったつもりだが
どうも胸のあたりに
その濃縮されたそいつが集まる
修行とは
地球の中で
行いを修めていく
実体感と実体験に勝る物は無い
溺れるかもしれない?
死ぬかもしれない?
戻れないかもしれない?
頭が邪魔をし続けながら
頭は畳の上の水練
遠くの波を見つめながら
「とやかく言うな」
「黙って行け」
と自分の胸を押す
背中は他力であり
自ら決めるのは胸である
正心を探し
名誉でも地位でもなく
うつしよの命にどう「けり」をつけるか
仲間と郷土と先祖へ義を尽くした
甲賀と伊賀の忍達
全ては鎮護国家と平和の為に
様々な記憶と想いが旅をする訳だ