今から9年前

たまたま伊豆にいると

僕が住んでいた1992年のオーストラリアの海岸に

1年前まで住んでいたという、伊豆に移住した小川さんから電話がなった

もしかして来てるのこっちに?

いるよ

サーフィン来ない?

小さめな波だが風もなく

午後3時半で太陽が金色に輝いていた

おれサーフィンしないで写真とってみるよ

撮れないかもしれないけど

そんな一時間ほど海の中を泳ぎ回り

波の中を逃げまくり押しては

逆光の中小川さんを写した

そんなに上手く撮れなかった感じだが

海から上がってみて写真を見たら

驚いた

銀河だ!

小川さんは優しい人で

いつもニコニコ、海から上がると浴びる水をくれたり

(僕は子供の頃から海からはそのまま帰るが普通だから水を持っていかない)

懐かしいオーストラリアの旅の話しや

新島行きたいね

伊豆に行くと一緒に移住された

暖かなご両親に会うのが楽しみだった

手を繋いで歩いた4歳から知っている子供も大きくなっている

時間早いね

ある日伊豆でキャンプをしていると、来週また来るからその時あって海へ行こうよ

話していたが

近くの海で素潜りしてたから

来るまで待ってるから会おうよと

0ぷんくらい下田で待ってくれていたが

僕は気持ちがバタバタしていて車から降りず

また来週波乗り行こうねと

バイバイと別れてしまった

するとその数日後

珍しく台湾にいるはずの、弟さんから電話がなり

神妙な声で

兄が亡くなりまして

杏橋さんにはお伝えしないと

・・・・・・

あれはお別れだったんだ

無意識なのか知らせなのか

聞けば急に心臓の血管は破裂する、動脈性乖離

海で苦しいと上がってきて、そのまま

ライフガードがドクターへりを呼んでくれたんですが 

・・・・

サーフィンは血圧が上がるからな〜

息を止めたり、波巻かれたり

すぐに家へ行くと

僕が写した波に乗る小川さんの写真が飾ってある

お母さんが、杏橋さんに撮ってもらったんだよ

って喜んでいてね

飾っていたのよ

もっと撮ってあげればよかった

まさかな〜・・・・

波の中を泳ぐと決めたのも,子供の頃にお世話になったパラオのホームステー先の墓前だった

失って、見えていなかったその道に光を射してくれる人がいる

今も仏壇には2枚の波に乗る彼の写真

まさかね

私たちより先に行くなんてね

残されたまだ中学生の孫たちが心配なんです

言葉が出ない

小川さんが誘ってくれなければ

日本は水も濁り、波も小さく撮れないと決め付けていた波の裏も

実はやってみると、撮れる日がある

条件的にも波のサイズも透明度も南太平洋の波とは格段に難しいが

それ以来、日本の波に夢中になり

日本で写せたらいいな〜神社の横など日本でも祈りながら撮れたらな〜

と思っていたから

不思議な1枚

友の誘いの「一言」から撮れていることに、改めて御礼を言う

人の命も波も儚いが

そこに、そんな小さな事、を気にせず

楽しんで夢中になることに尽きます

気になったらやってみる

人生1度で、ある程度は決まっているのかもしれません

人間には過去からの記録

アカシックレコードがあると

あるアメリカ人の本を読みました

地球が破壊され、人の心も殺伐としていく中

日本人が世界で最も祈りや霊性が高いとも書いてありました

それが全てで正しいとかではなく

そういう事もあると思います

互いが生きてきたわずか50年の中の数年ですが

どこかにそれらの時間は記録され

また来世があるのなら

その人生に影響が出るのだろうか

海が好きだった男が

存分に楽しんだ海で死に

知らなかった海を教えてくれた

1枚の写真は、この世でもあの世でも人生に寄り添い

瞬時に繋いでくれます

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