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昼頃目覚めた。
雨も上がっていた。
やはり、溺れた海に戻る必要に押された。
この時が一番気持ちが重かったが、このまま逃げたら終わりだと感じていた。
たぶん死にかけた同じ場所へあえていく事で、心のダメージを和らげたかった。
ドキドキしながら海を望む小道から丘に出ると、
海は大荒れでクローズだった。
もちろん海にはだれもいなかった。
正直泳がなくてホットしたが、逃げずに来てよかった。
海はまだまだお前の力では、来るなと伝えてくれたと感じた。
そして気持ちを変え子供達でにぎわう、エフカイビーチへいった。
幾度かせまりくる波をかいくぐるりながら、朝の事が頭をよぎったが、
心が悪い方向に持っていかれないようにした。
結局1時間半程泳げたというのが正しい。
特別な写真は何も撮れなかったが、特別な時間を与えてもらった。
海もそうだが、子供達の楽しげな穏やかな時間に救われた。
朝の出来事は自ら招いた事故だった。
明日から何年も続くであろう波の時間を精一杯生きようと思った。
夜は宿の庭で普段飲まないタヒチのHinanoビールを1本だけ飲んだ。
気分がいいから、おごそかな乾杯というやつだ。
海では心のあり方がいかに大事かを改めて知った。
もちろん自らの力にあった場に行く事。