ハワイを旅していた
のは2002年頃
アリューシャンからくるうねりが
ハワイ諸島に届くとき
海岸でその波動は旅を終える
それを人は波と呼ぶ
物好きがこの巨大な水の壁に木の板で乗ったのが
サーフィンの始まりだが
世界で自然に行われていたようで
伊豆七島ではヘイナルと呼ぶと昔聞いた
僕はその波を裏側から
いや波を通してその先にある宇宙の太陽を
写していた
波を写しているのではなく
波の中から宇宙の象徴である
太陽を写していた
命をとして
泳いで行く
最低限の道具でこそ
海の真髄を知れるかもしれない
そんなある日の思いが
ずっと僕の胸を押してきた
人はある日
ふと
気づくことがある
絵も言えぬ笑みが溢れる
確信めいた謎の感覚
僕は今でも
この目にも見えない
未来を決める感覚を大事にしている
それは固定された物ではなく
常に振動し調律し
この世界、あの世界と変化していく
36m枚のフィルムを金属のカメラにつめて
旅をした
帰国し
現像所に持ち込み
数日間さらにワクワクし
できあがったスリーブを現像所のライトボックスで
確かめ
また家に戻り
ライトボックスと拡大して見れるビューワーで見た
そしてハサミを入れ
プラスチックのマウントに1枚1枚入れて
保管する
時間をかけ
あの途方もない海の旅と歩いて泳いだ
1枚の時間が
ゆっくりと教えてくれること
はやければいいもんじゃない
あっという間のただの移動するだけの新幹線の旅より
夜行列車の旅が懐かしい訳だ
奥の細道のように
足で歩いて感じた人々や景色から
その昔の先人の呼吸や足跡まで
感覚をフルに細胞で感じた旅は
今の旅人には永久にわからない
自分の歩幅で
自分のひとかきで泳げばいい
見るのではなく
読み、味わうこと