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カメラを変えフィルムを詰め替えては海へ戻った。
2時間程撮影しても、波はあった。
やがて山に雲が流れ、雨が全てを包んだ。
水中から見る雨は美しい。
幾重にもうねる墨絵の様な水面に、パチパチと時間をずらし波紋が打ち付ける姿は生き物のようでもある。
もとの海の水がまた海へ戻る瞬間だ。
幾度となく船に戻ったが、そろそろ本当に船に戻ったほうがよい気がした。
波を泳ぐ時間と共に緊張感が薄まりつつある。
感覚的なことだから、上手くは言えないが。
それが常の答えなのだと信ずる。
大波をかわし回転しながら押した瞬間、シャッターが水中で折れた。
既に1台は水没し、いよいよ暗い海から戻る決意をした。
波をかわしながら泳ぎ、雨の中の沖の船へ戻る。
途中ふと眼下を2mくらいのブラックチップシャーク(安全な鮫)がコバンザメを体につけ
沖へ泳いで行った。
鮫は海の神様。
海と生き物達に感謝した。
最後の日に写真集が1冊出来そうな数の写真が撮れた。
いずれ機会が訪れたら、写した順番のままお見せしたい。
またあの雨の様にこの海へ戻りたいと思う。
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